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「お客様にて活用されること」を第1優先に
- Markforged

従来の樹脂3Dプリンターでは不可能だった強度と手軽さを、炭素繊維配合の複合材料を利用できる「産業用コンポジット3Dプリンター」で実現し業界を揺るがせたMarkforged(マークフォージド)社。発売から数年を経た今でも人気を博しており、2019年にはMarkforgedは世界でナンバー2のマーケットシェアを獲得しています。

多くのメーカーを取り扱うリコージャパン社内でも、Markforgedの製品を評価する声は多く、お客様と日々向き合うセールスからは「期待通りの効果を得られる」、また技術サポートからも「導入先のお客様が数多いにもかかわらず、トラブルの相談が非常に少ない」と高い信頼性を発揮していることがわかります。3Dプリンターはまだまだ発展段階で使い手に工夫を求めるケースも散見される中で、安定して結果を出しているMarkforgedの3Dプリンターですが、日本国内で一次店として活動するデータ・デザイン社の日尾 紀暁氏に、Markforgedの製品の特長とデータ・デザインがMarkforgedを取り扱う上での思いに関して詳しく解説をいただきました。

(語り手:データ・デザイン日尾 紀暁氏 聞き手:3DPエキスパート編集部)

Markforgedの3Dプリンターの特徴

Markforgedの3Dプリンターは人気が高く出荷が伸びていると聞いています。どんな特徴があるのでしょうか?

Markforgedは樹脂用のMEX方式(Material Extrusion: 材料押出積層方式 別名FDM方式)の3Dプリンターは炭素短繊維を含んだ独自素材が発売当初より特徴的でした。その後も続々と取り合つける材料を増やし、他社に先駆けて炭素長繊維を含んだカーボンファイバー材料、グラスファイバー、ケプラー材などのラインナップを展開しています。まさにコンポジット系材料への取り組みでは世界トップクラスです。金属にも負けない高強度造形や難燃性の規格のUL94に対応した材料の取り扱いができる機種もあるので、従来の樹脂3Dプリンターの造形では困難だった強度、難燃性が求められる部品の造形を可能にしてくれました。

装置の観点では非常に表面精度が高く、滑らかな仕上がりを実現しているにもかかわらず100万円以下からラインナップがあるということで、こちらも高いコストパフォーマンスを誇ります。装置サイズもコンパクトで、320㎜×132㎜×154㎜の造形領域があるMark Twoという機種でもフットプリントが584㎜×330㎜×355㎜ですので、卓上サイズといえると思います。

Mark Two

ソフトウェアの観点でもクラウド型の制御ソフトEigerは造形準備データの用意、造形シミュレーション、装置の制御など一貫して管理できる多機能ソフトでありながら操作方法が直感的でわかりやすい優れたソフトウェアだと思います。創業者がソリッドワークス出身ということもあり、設計現場のことをよくわかっていることもあるかもしれません。

つまり高機能・高性能なのに手がかからない3Dプリンターというわけですね。

はい。材料の面で特徴を出しながらも、利用者の課題を一つ一つ解決していった結果たどり着いた生産装置だという印象を持っています。例えば治具を作ろうという際に、従来の樹脂3Dプリンターでよく使われているABS樹脂系の材料では、金属製の治具と比べるとどうしても強度が足りませんでした。Markforgedはそこに炭素繊維配合のコンポジット材料を提供することで解決しています。いま多くの企業で固定治具やロボットハンドなどを制作する際にコンポジット機が利用されています。表面性が非常に良いので、後加工なしで利用されることもあるほどです。

Markforgedの3Dプリンター出荷台数について

いま世界や日本でどれくらい導入されているのでしょうか?

Markforged全体では累計1万2千台の出荷があると言われています。日本では1,200台程度がすでに稼働しています。その大半がコンポジット機です。 例えば治具製作を行う際に社内で図面を引いて、加工は外注に回している場合、治具制作を内製化することで大きなコスト削減を実現できる可能性があります。アルミの固定治具などは切削で加工すると小さなものでも数万円以上コストが発生し、リードタイムも2週間程度かかるケースもあるとおもいますが、内製すればリードタイムは半日から一日に、コストも数分の1程度に圧縮できる可能性があります。こうした可能性に挑戦し成果を収めている企業が増えていると感じています。出荷は年々のびていますので、今後も利用企業は増えていくでしょう。

Markforgedの3Dプリンターが
評判が高い理由とは?

リコージャパンのお客様から「手間のかからない商品」と評判が高いのですが、その理由・開発方針等を話せる範囲でお聞かせ願いませんか?

米国ではMarkforgedは、機器販売後に頻繁にお客様を訪問してCS調査を実施して、「自社の3Dプリンターはお客様の要望を実現しているか」を継続的にお客様との対話の中で把握していると聞いています。その結果、必要な材料の積極的な市場投入、ソフトウェアの継続的な改善を行っており、クラウド型のEigerに頻繁に機能追加や改善を反映しています。こうした取り組みは、Markforged社の創始者が3DCADベンダーのソリッドワークス出身であることも関連しているかもしれません。3DCAD製品の開発を通じて、設計や造形の現場をリアルに体感しているからこそ、ユーザーの声を継続的に聞き、製品に反映しているのではないでしょうか。

またMarkforged社は一貫してMEX方式で製品を提供しています。3Dプリンターには数多くの造形方式があり、それぞれ一長一短があります。販売台数が伸びている会社ほど様々な造形方式を並行して研究開発の対象にしやすい傾向があるように思うのですが、Markforgedのように高いマーケットシェアを獲得した企業が一つの方式のみに資源を集中してきた点は、真にいい装置を世の中に提供したいという思いが感じられます。

データ・デザインさんは「実際に装置を使用・検証し、用途・効果が認められるまでは製品をお勧めしない」と耳にしています。そんなデータ・デザインさんがMarkforgedをかなり推しているのが印象に残りました。

そうですね。どういう表現が適切かわかりませんが、使ってもらえない装置を販売している販売店はお客様の支持を失い、いつか死んでしまうわけです。ですから新しい装置や技術はまず社内で納得のいくまで検証をする必要があると感じています。「この装置はこの用途であれば一定の性能や成果が期待できる。こんなお客様なら成果がでる」ということを明確にしてからお勧めしたいと考えています。実際に検証していくなかで、お客様先でも結果がだせそうな手ごたえを感じさせてくれるのがMarkforgedの製品だと確証を持てたので自信を持ってお勧めしています。

まとめ

世界第二位の出荷数を誇るともいわれるMarkforged社。リコージャパンの社内でもその評価は高く、出荷台数もかなり伸びています。材料・装置・制御ソフトウエアのいずれも、現場が使いやすいように考えられていることが評価されていると思うのですが、その背景には絶えず改善を続ける姿勢や取り組みがうまく機能している点にあるかもしれません。炭素繊維配合材料で造形できるコンポジット機で一世を風靡したMarkforgedですが、金属3DプリンターMetal Xも注目を集めています。しばらく目が離せない注目のメーカーだと言えそうです。

ライタープロフィール

伊藤正敏

3Dプリンターのポータルサイト、シェアラボニュースの編集長として、これまで200人以上の業界関係者にインタヴューを実施。3DPエキスパート編集部ではライターとして取材・記事制作を担当。

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