3Dモデルは必ず中央公差にて設計すること
本記事の内容が当てはまる造形方式
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- 機械加工のような職人さんはいない!
3Dプリンターの造形物をより設計者の望むものにするための、3Dモデルの作り方を解説します。3Dプリンターの造形フローは図1にあるように3Dデータを直接加工に用いるので、寸法公差などの概念をもちません。図2を見てください。嵌めあいの部品を設計する際はJISなどでもこのように片側公差を運用しています。この部品を切削などで作る場合は、加工する職人さんが寸法公差をみながら、部品の使い方を考慮して嵌めあいできるように加工します。しかし、3Dプリンターの場合は...
図1
- 3Dプリンターで造形するなら、モデルは中央公差にて設計!
造形のバラつきが±0.2mmの3Dプリンターで左の図のモデルデータのまま造形すると、3Dプリンターはデータ上のφ10mmの棒とφ10mmの穴しか理解できません。ということは、棒穴共にφ10を中心に造形するので、例えば棒がφ10.2mmで、穴がφ9.8mmになったりすることもあります。この場合棒は穴に入れることができません。棒を穴に確実に通したい場合は図3のように棒φ9.8mm、穴φ10.2mmになるようにモデルを設計します。
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図2
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図3
- 公差はどのくらいに設計すればいいの?
では、3Dプリンターで造形する際に、公差はどのくらいにする必要があるでしょうか?3Dプリンターの方式やマシン、また造形方向によって造形物のバラつきは変わってきます。例えば、FDM方式に比べ、マテリアルジェット方式やSLA方式(光造形)のほうが細かいものを造形することが得意なため、比較的ばらつきも小さくなりますし、上記の図のような円形状だと円の中心線が積層方向と一致するほうがばらつきは小さくなります。お使いの3Dプリンタに合わせて公差を設定し、モデルに反映することでよりクオリティの高い造形物を作成することが可能となります。
(丸田 和弥)