精度を出したい輪郭は真上に向けて一筆書き!
本記事の内容が当てはまる造形方式
- 全て
- きれいな円を造形するには?
造形物の品質を高める「造形方向の注意点」について解説します。下の2つの造形物は、「同じ大きさの穴形状」を「同じ3Dプリンター(FDM方式)」で造形したものですが、円の輪郭の綺麗さが大きく異なっています。左の造形物は円の輪郭に凹凸があるのに対して、右の造形物は円の輪郭が滑らかできれいな仕上がりとなっています。同じ様な形状を造形しているのに、この差はどこで生じるのでしょうか?
図1
- 大切なのは、輪郭を一筆書きすること
この差は、造形する際に設定するモデルの向きに起因します。左の造形物は積層方向に対して円が横を向いており、円の輪郭が積層ピッチの大きさの段々になっています。また、円の上端や下端では、積層ピッチ以下の「形状の四捨五入」が起こって微小な直線形状が現れてしまいます。一方で、右の造形物は積層方向と同じ方向に円が向いています。同じ層の中で一筆書きで書いているので、円の輪郭が綺麗に造形されています。
図2
- 3Dプリンター向けの設計ポイント
既に部品の形が決まっている場合や別の方法で量産する予定の部品を試作する場合は、特に重要な輪郭を一筆書きできる向きを選ぶことで、綺麗な輪郭線が得られます。
では3Dプリンターで作ることを前提に新たな部品を設計する場合は、どんなことに気をつければ良いでしょうか?重要な穴形状などが複数ある場合、それらが同じ方向を向く様に工夫することで、綺麗な造形に揃えることが出来ます。また重要な輪郭を真上に向けた際に、できるだけ造形物の高さが低くなる様な形状にすることで、造形時間の短縮や品質の安定などが期待できます。