造形コストを抑える設計のポイント マテリアルジェッティング編
本記事の内容が当てはまる造形方式
- MJ
- 材料の価格差に着目
マテリアルジェッティングで使われる材料にはモデル材とサポート材の2種類ありますが、それぞれ価格が異なります。例えば典型的なマテリアルジェッティング装置では、サポート材の価格を1としたとき、モデル材の価格は1.5~2.5になります。(材料の種類によって異なります) 図1の様な中身の詰まったブロック形状の部品の場合は、造形上の工夫や設計を見直して、サポート材をうまく使うことで部品コストを低減することができます。
図1:元のソリッド部品
- 設計を変えられる場合:薄肉化
部品として必要な機能がオモテから見える面だけで満たされる場合、モールド部品の様に中身も底面も無い一定肉厚の薄肉部品にすることで、モデル材の使用量を減らせます。薄肉の下に囲まれた領域はもちろんサポート材が入りますが、大部分が安価なサポート材となることで、全体の造形コストを低減することができます。 一般的な3DCADには薄肉化するコマンドがありますので、そちらを使用すると便利です。
図2:薄肉化
- 外形は全てそのままに:中空モデル化
底面も無いと困る場合や薄肉では強度が不安な場合、モデル内部にあえて密閉した空洞形状を作ることで、サポート材を閉じ込めてしまう手段もあります。見た目も変わらず、中身にサポート材が詰まっているので何も無い時と比べ部品強度が向上します。(※モデル材がクリアの場合、サポート材が見えてしまいますので注意が必要です。)また、薄肉化の場合はサポート材を除去する必要がありますが、密閉することで、サポート材を除去する手間を省くことができます。
3DCADにて中空モデルを作る場合、薄肉化コマンドで薄肉部品を作成してから、開口部を塞ぐと簡単に中空モデルを作ることができます。また、Materialise社のMagicsなど3Dプリンター向けのSTL編集ソフトをお持ちの場合は、専用の中空化コマンドを使用すると一度の操作で密閉した中空モデル化ができ非常に便利です。
図3:中空モデル化
(小川 淳彦)