FDMサポート材の種類と特長
本記事の内容が当てはまる造形方式
- FDM
- Break AwayサポートとSolubleサポート
Stratasys社のFDM方式の3DプリンターではBreak AwayサポートとSolubleサポートという剥離方法の違う2種類のサポート材が利用できます。造形材料によりサポートの剥離方法が違います。表1は造形材料とサポート剥離方法の対応をまとめたものです。ABSはDimension BST1200ESのみBreak Awayとなっており、そのほかの機種はSolubleサポートが利用可能となっています。またPCおよびUltem系の造形材料ではBreak Awayとなっており、Solubleサポートが使えません。PC-ABSではSolubleサポートが利用可能となっていますが、造形材料にダメージが発生する場合があり注意が必要です。以下ではこのBreak AwayとSolubleの各方式毎の特長を示します。
表1
材料名 | サポート剥離方式 | 備考 |
ABS | Soluble | BST1200ESはBreak Away |
ASA | Soluble | |
Nylon-12 | Soluble | |
PC-ABS | Soluble | 剥離剤により造形物にダメージの可能性あり |
PC | Break Away | |
Ultem9085 | Break Away | |
Ultem1010 | Break Away |
- 誰でも利用可能(Break Awayサポート)
Break Awayサポートは、造形物からサポート材を、工具などを用いて物理的(力づく)で剥離します。作業に特に高度な資格や装置は必要なく、特別な環境を準備する必要もありません。この面では、一般環境に設置可能なFDM方式の3Dプリンターに適した方式といえます。ただし、複雑な形状や華奢な造形物ではサポートの取り残しが発生したり、造形物を破損したりするため造形できる形状に制約が発生してしまいます。
※サポート材除去の際に発生する破片は薄く鋭利なため、作業中は必ず防具(保護めがね・マスク・手袋など)を利用してください。
- 漬けるだけで複雑形状もOK(Solubleサポート)
Solubleサポートは専用の溶解液を用いてサポートを溶解し剥離します。サポートは完全に溶解してしまうため、奥まった所にあるサポートも完全に取り除くことが出来ます。また、造形物に負荷がかからないため破損することもありません。溶解液の洗浄などの人手が掛かる作業時間は非常に短いのが特長です。ただし、この溶解液はGHS表示で危険な化学物質とされており、利用には専門的な知識と設備が必要です。また、使用後は産業廃棄物として処理が必要であり、一般的なオフィス環境での利用には制限があります。SolubleサポートはBreak Awayで除去することも可能です。利用環境に応じて両方式を選択することが可能です。
(山口 清)