技術者が語る 3Dプリンターのいろは

簡単きれい。マテリアルジェッティングのひみつ。 その1

本記事の内容が当てはまる造形方式

  • MJ
簡単・きれいな造形方式

3Dプリンターとは」でご紹介しましたように、マテリアルジェッティングは他の造形方式に比べて取扱いが簡単で、微細な造形が可能です。しかも装置の維持や造形物の後加工に特別な技能を必要としないことから、FDMについで広く使用されています。また、マテリアルジェッティングでは複数の材料を使ったり、更には混合することが可能です。例えば硬い樹脂とゴムの様に柔らかい樹脂を混合して所望の硬さの樹脂を作ったり、部分的に硬さを変えたりすることも出来ます。

図1

でもやっぱり万能ではない。

このように一見万能とも思えるマテリアルジェッティングですが、やはり弱点もあります。造形物は非常にきれいで精度も高いのですが、強度・耐久性が乏しく実用に向きません。特に高温・高湿の環境下では変形が発生します。また、インクを吐出するヘッド部は非常にデリケートで目詰まりを起こしやすく、取り扱いには細心の注意が必要です。

ひみつのカギはインクジェット

マテリアルジェッティングでは材料を積層していく方法としてインクジェットを用いています。インクジェットとは家庭で年賀状や写真を印刷しているプリンターと同じ物で、インクを粒状にして吐出する方式です。マテリアルジェッティングの持っている上記のような特長は、すべてこのインクジェットを用いることに由来しています。このため、インクジェットの原理や仕組みを正しく理解することでマテリアルジェッティング方式の3Dプリンターをより有効に活用することが可能となります。次回以降の連載では、このインクジェットに関して解説していきます。

(山口 清)

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