Solubleサポートで形状にひと工夫
本記事の内容が当てはまる造形方式
- FDM
- サポート材は溶かすことができる
材料押出堆積法(FDM)方式では、ABSやASAなど一部材料でサポート材を溶かして除去できるものが有ります。その方式を"Soluble"と呼んでいます。Soluble=溶かせるの意味の通りで、サポート材をアルカリ溶液に浸すことでサポート材が溶ける仕組みとなっています。実際に溶かす際は、アルカリ溶液の入った超音波洗浄機にサポート材の付いたモデルを入れて、数時間動作させることでサポート材を完全に除去します。
図1:FDM方式のサポート材溶解
- 溶ける性質を利用して形状をひと工夫
サポート材の除去がBreakの場合、複雑に入り組んだ形状や工具の届かない範囲はサポート材を除去できません。しかし、Solubleサポートの場合は図2のような蛇行した管形状でも、中に詰まったサポート材をキレイに除去することができます。この特性を活かして、3Dプリンターならではの形状を取り入れることも可能となります。
図2:蛇行管におけるサポート材除去
- 造形物まで傷む特殊な例も有り
サポート材を溶解できる材料の1つに"PC-ABS"が有ります。元々PC自体がアルカリ溶液に弱い性質のため、PC-ABSに含まれるPC成分が長時間漬け込まれることで反応してしまい、造形物の形状が崩れてしまうことがあります。お風呂に長時間入っているとのぼせてしまう訳ではありませんが、適度な時間で溶解させることが造形物を守るために重要なことになります。
(小俣 貴広)