技術者が語る 3Dプリンターのいろは

光造形方式による透明材を用いた造形物の一体/分割造形

本記事の内容が当てはまる造形方式

  • SLA
3Dプリンターにおける一体化造形

3Dプリンターには従来の切削加工や射出成型では製作できない複雑な形状を造形できるメリットがございます。そのメリットを活かすためには、3Dプリンターで製作することを前提に複数部品を一体化した構造の設計をする場合があります。
しかしながら、3Dプリンターの製作においては造形後にサポート材を除去する工程が発生します。(サポート材が必要となる造形方式の場合)モデルの作り方によってはサポート材除去が困難となり除去作業ができない場合もございます。
サポート材除去が困難なために一体造形ができない例を以下にご紹介します。ある1面に穴がある箱形状で、内部の可視化のために透明材での製作を検討した場合、箱本体と蓋を一体造形することで組立工数を削減しようと検討しましたが、内部に付いたサポート材を完全に除去できないという問題が発生しました。

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この場合、外観面にクリア塗装を施したとしても、内側の研磨ができなかったり、残留したサポート材により透明度が大きく下がってしまいます。

サポート除去性の向上策(分割造形のメリット)

上記の問題を解決するためには、図2のように従来工法同様、蓋と箱本体を別体にて製作し、後から接着等で固定することにしました。

017Figure2.jpg

このように分割造形をすることでサポート材の除去が容易になるだけではなく、図3のようにサポート材を最小限にすることが可能となります。

017Figure3.jpg

このように3Dプリンターでの造形において、一体造形ではなく分割造形にした方がサポート除去性が良くなり品質が良くなる(安定する)場合もございます。

研磨加工性

分割造形をした今回の例では、分割造形をした方が箱内部へのアクセスが容易になるため造形品の研磨加工性も良くなります。そのため、「透明性向上のための表面研磨」でご紹介したように造形+研磨+クリア塗装により造形物全体を高透明に仕上げることが可能となります。 また、造形方向上下面については、造形+クリア塗装の仕上げだけでも透明度は高い状態になります。

017Figure4.jpg

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