3Dプリンターで造形した際の文字部の再現性
本記事の内容が当てはまる造形方式
- FDM
- SLA
- SLS
サンプルプレートの文字再現性、最小肉厚について
部品の識別や会社のロゴ等のために文字自体を部品に刻印(造形)することが3Dプリンターでも可能です。 例えば下記の画像のリコー3Dプリンター出力サービスで作成したサンプルプレートでは、「RICOH」の凸文字(文字線の幅0.8~1.6mm程度)、及び材料名を刻印した凹文字(文字線の幅0.4~0.6mm程度)を入れて造形しています。これは造形方式に関わらず同じ設定としています。
※「文字線の幅」の定義については下図参照
<再現可能な最小形状寸法>
・材料押出堆積法/熱溶解積層法(MEX/FDM):積層ピッチ0.127mmの場合約0.6mm以上、
積層ピッチ0.254mmの場合約1.0mm以上
・HP Multi Jet Fusion テクノロジー:約0.5mm以上
・光造形(VPP/SLA):約0.3mm以上
そこで上記を踏まえ、下記3材料について、3Dプリンター造形による文字の再現性を確認しました。
・材料押出堆積法/熱溶解積層法(MEX/FDM):積層ピッチ0.254mm、ABS-M30
・HP Multi Jet Fusion テクノロジー:積層ピッチ0.08㎜、PA12
・光造形(VPP/SLA):積層ピッチ0.1㎜、SCR786(クリア塗装無し)
なお、本内容で確認した造形物の造形方向は右上図とする。造形方向によって再現性は異なる場合があります。
文字再現性の確認結果
文字(42.5pt/高さ深さ1mm)程度の形状を作成し、フォント/凹凸文字/材料による文字の再現性の違いを確認しました。
【凸文字(フォント 上:HGP明朝E 下:Meiryo UI)】
・材料押出堆積法/熱溶解積層法(MEX/FDM):ABS-M30 積層ピッチ0.254mm
→HGP明朝Eは所々欠損有り、Meiryo UIは薄肉形状は一部欠損しているが概ね再現できている
・HP Multi Jet Fusion テクノロジー:積層ピッチ0.08㎜、PA12
→薄肉形状は一部欠損しているが、いずれのフォントも概ね再現できている
・光造形(VPP/SLA):積層ピッチ0.1㎜、SCR786(クリア塗装無し)
→いずれのフォントも再現できている
・料押出堆積法/熱溶解積層法(MEX/FDM):ABS-M30 積層ピッチ0.254mm
→いずれのフォントも概ね再現できており、凸文字よりも再現性が良い
・HP Multi Jet Fusion テクノロジー:積層ピッチ0.08㎜、PA12
→いずれのフォントも再現できている
・光造形(VPP/SLA):積層ピッチ0.1㎜、SCR786(クリア塗装無し)
→いずれのフォントも再現できている
まとめると以下表のようになります。
文字再現性が高い条件
上記より文字の再現性が高い条件を考察します。
■フォント:文字線の幅が小さい形状(文字線の幅が最小形状寸法を下回る形状)がある場合、文字線の幅が均一に近いフォントを選択することで再現しやすくなる場合がある。
■ 凹凸:凹形状の方が再現しやすい。再現可能な最小形状寸法以下の部分があるフォントの場合でも凹形状の方が再現しやすい。
文字部の再現性に懸念がある場合は上記の条件への変更にて再現性が上がる可能性があります。