門前の小僧
(動画)HeadLine編集長 中野 哲也
(【尾灯】) RICOH Quarterly HeadLine Vol.24 2019 夏
平成から令和へ—。洪水のような改元報道に呑み込まれると、普段は元号をほとんど使わない筆者も時代の節目を意識した。昭和末期に社会人になり、平成30年間の3分の2を通信社記者として禄を食み、東京でバブル膨張~崩壊を、ワシントンでは911同時テロを挟んで米国と国際社会の変質を取材・執筆した。残り3分の1は紆余曲折、今はシンクタンクを拠点にする。平成は自分のキャリア期間とほぼ重なり、その経験が令和に通用するのか...。不安だけど、楽しみでもある。少年時代を思い返すと、周囲に明治や大正、昭和初期に生まれた大人がたくさんいた。その人たちの話を聴きながら、「門前の小僧」は歴史や政治・経済、外国に興味を持ち、気が付くと記者になっていた。デジタル時代は大変便利だが、対面コミュニケーションが減ってしまい、小僧は育ちにくい。小僧を一人でも増やすことが、これからの自分にできる仕事なのか...。先日、JR人吉駅(熊本県)で大正生まれのSL旧国鉄58654号機(大正11年=1922年製造)の汽笛を聴きながら、そんなことを考えた。(N)