テレワークで働くチームの信頼を深めるコミュニケーション術 ~新西誠人・客員主任研究員が新著(多摩大学出版会)~

 リモートワークが日常となった今、顔も名前も知らなかったチームメンバーと、どうすれば信頼関係を築けるのか。

 リコー経済社会研究所の新西誠人客員主任研究員(多摩大学准教授)は、そんな課題の研究に真正面から取り組み、オンライン上のコミュニケーションと信頼の形成に関して実証的に実験。分析成果をまとめた研究書「テレワークで働くチームの信頼を深めるコミュニケーション術」を出版した。

 実証研究は、クラウドソーシング(ネットを通じて不特定多数の人に業務を委託する働き方)を通じて参加者を募集。3人チームの45チームが与えられた選択肢からテーマを選んでリポートを共同で作成し、その後、25チームが別の作業を継続した。その過程におけるメンバー間メッセージのやりとりを詳細に分析し、どのようなコミュニケーション行動などが信頼を構築するかに光を当てている。

 1回目のチーム作業では、作業予定を合わせる「状況メッセージ」が力を発揮。一度信頼が構築されると、その後は雑談が信頼に影響することなどが分かった。実証データと現場の現実に裏打ちされた分析が本書の魅力だ。

 実証実験は、新型コロナウイルス感染症の流行前に実施。リモートワークが本格普及していなかった時期で、コミュニケーションもテキスト・ベースで行われた。今回の研究成果を踏まえ、最新の社会情勢や情報技術環境に基づいた今後の研究に期待したい。

舟橋 良治