2025年12月

「リコーと一緒に仕事ができて良かった」を目指して

部門を超えて未来を具現化する共創コーディネーターの挑戦

#インタビュー

#コラム

リコーのデジタルサービスと顧客のアイデアを融合し、新たな価値を生む知的創造空間、RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO(以下、RICOH BIL TOKYO)では、既存ソリューションだけでは解決できない経営課題に対して、様々な可能性を模索・提案し、実際の具現化までを伴走支援しています。

そうしたRICOH BIL TOKYOの共創プロジェクトにおいて、リコーとパートナーの持つ技術を駆使してお客様の課題を解決するべく、実際にプロジェクトをリードする役割を担うのが共創コーディネーターです。

そこで今回は、共創コーディネーターとして様々なプロジェクトを推進してきた、リコー デジタルサービスBU デジタルビジネスイノベーション本部 共創ビジネスセンター 共創ビジネス開発室の岩附 仁が、共創コーディネーターの役割、そして具体的にどのように共創プロジェクトを推進しているのかについて語りました。

共創プロジェクトを実際に具現化・実行していくこと。それが共創コーディネーターに求められる役割


── 
まず「共創コーディネーター」がどういった役割を担うのかについて教えて下さい。

お客様が課題解決のために実現したいことを具現化・実行するためのパートナーとして、共創プロジェクトを推進していくことが共創コーディネーターの担う役割です。
共創コーディネーターは、プロジェクト管理はもちろん、リスクの洗い出しからタスクの整理、またお客様自身が課題に対して何をどこからやるべきか、そもそもの本質的な課題抽出など、プロジェクト推進に求められることは何でもやります。

そして共創プロジェクトでは、リコー内でも様々なソリューションをかけ合わせていくため、お客様の要望に対して、リコーの各部門と調整し、チーミングしていくことも共創コーディネーターの役割のひとつです。

過去にもリコー社内の複数の組織を巻き込んだプロジェクトがありましたが、もしもお客様が各部門それぞれとやり取りした場合、各々の提案というのはお客様にとってやりたいことの一部に過ぎません。
しかし共創コーディネーターが間に入ることで、より最適な組み合わせを提案していくことができますし、それらのピースを組み合わせるという負荷をお客様側で持つ必要がなくなります。


── 共創プロジェクトにおいては、「ビジネスデザイナー」というポジションも存在しますが、共創コーディネーターとはどういった違いがあるのでしょうか?

共創プロジェクトでは、お客様がRICOH BIL TOKYOに来訪される前から、お客様の事業リサーチを行ったり、共創シナリオの仮説立てを行ったりといった準備を進めていきます。
そうした事前準備から実際にお客様がRICOH BIL TOKYOに来訪されるまでを担当するのがビジネスデザイナーの役割です。そして、それ以降の共創プロジェクトを実際に進めていく部分を、共創コーディネーターが担います。

ビジネスデザイナーと共創コーディネーターが思い描く共創シナリオが一致していなければプロジェクトはうまく進めていけませんから、お客様にとって価値あるプロジェクトにするためにも、日々課題に対しての目線合わせ、そしてそれがお客様にとって本当に価値のあることなのかなどを意識しながら進めています。

リコー デジタルサービスBU デジタルビジネスイノベーション本部
共創ビジネスセンター 共創ビジネス開発室 岩附


── 
具体的に、これまで共創コーディネーターとしてどのように案件に関わってきたのか教えて下さい。

とあるお客様の案件で、工場のファシリティ管理のためのDX推進プロジェクトを担当しました。その工場は非常に広大である一方、設備保全のためにアナログメーター等を日々点検する必要があり、中には日に何度も広大な現場を周り、点検業務に携わる従業員もいる状況でした。
そこで、実物の機械を点検せずともデータを見て判断できるようにし、点検業務の工数を削減することで生産性の高い別業務に工数を割けられるようにするといったご提案を行い、実証実験を進めていきました。

これは遠隔現場の可視化以外にも複数のプロジェクトを同時並行していたため、非常に多くの社内人員を巻き込む必要があるプロジェクトでした。そうしたリコー内の人員調整から、実際の実証実験を進めていくまでの細かなタスク管理などを共創コーディネーターとして推し進めていきました。

部門間を超えていかにヒトを巻き込むか。お客様のポジティブな反応を直接受け取れることが大きなやりがい

── 共創プロジェクトを具現化していく過程では様々な課題にも直面するかと思います。共創コーディネーターとして動いていく上で、どういった部分に難しさを感じていらっしゃいますか?

RICOH BIL TOKYOでは、お客様の課題解決、事業成長に繋がるのであれば何でもやるといったスタンスを大切にしています。
リコーは言語・画像AIに強みがある事や、マルチベンダーであることを活かして、課題の可視化やビジュアル化を通じて特定した問題解決のためのLLM、画像AI、デジタルツインなどを提供できます。それに加えて、オフィスのリノベーション、リモートワークの促進など、はたらく場・はたらき方のアップデート、更にはロゴデザインまで、幅広いプロジェクトを行っています。

そのように幅広いプロジェクトに対して共創コーディネーターだけで描けるシナリオには、おのずと限界が出てきます。そうするとリコー社内の様々な部門の、各領域の知見がある方やお客様の課題解決に繋がるソリューションを持った部門の方々を巻き込んでいく必要があります。そうした部門間を超えてリコー社内のヒトをいかに巻き込んでいくかという部分が難しさでもあります。

当然ながら、各部門の担当者は日々の通常業務を抱えていますから、共創プロジェクトにいきなりリソースを割けないこともあるでしょう。また、ソリューションは導入できたとしても、運用フェーズでのサポートをどうするかなど、リソース面での課題は常に生まれます。

そうした部門間を超えた調整というのが難しさではありますが、遠慮してお伺いを立ててばかりでは、物事は進んでいきません。
そこで強引にでも巻き込んでいく突破力のようなものを大切にしており、まさに組織間を超えたチームで共創を進めていくことが、共創コーディネーターとして尽力すべき点であると感じています。

── 岩附さんは、どういった点に共創コーディネーターとしてのやりがいを感じているのか教えて下さい。

私自身は2003年にリコーに入社しているのですが、はじめの10年間は技術者としてのキャリアを歩んできました。技術者時代に感じたのは、実際に使っているお客様の顔が見えないということでした。

一方でいまは目の前のお客様に対して、お客様の喜びを演出する側にいると感じています。そして、そのお客様の喜びをどれだけ大きくするかは私とプロジェクトチームの手にかかっていて、私が頑張れば頑張るだけ大きな喜びにつながります。
そうした中、「リコーと一緒に仕事ができてよかった」といったお褒めの言葉をいただけたりと、お客様のポジティブな反応を直接受け取れることがやりがいであると感じています。

DX推進を実現するために。経営層と現場の方々の目線合わせができる場所としてもRICOH BIL TOKYOを活用してほしい

── あらためて、岩附さんにとってRICOH BIL TOKYOはどんな場所ですか? またこれからRICOH BIL TOKYOに来訪されるお客様に伝えたいことは何かありますか?

RICOH BIL TOKYOはリコーの様々なソリューションを使った事例を実際に見て触れることができる場所です。一方で、「商品を陳列されていて、どれか買って下さい」といった場ではありません。リコーの持つソリューションを実際に見て、様々な可能性を模索することができる場所です。

来場されるお客様は経営層の方が多いのですが、私はぜひ経営層の皆様だけではなく、現場で働く方々にも来訪いただきたいと思っています。自身も技術者であった経験から、現場で働く方々には世の中の最先端技術に触れる機会というのがなかなかないのが現状です。しかしRICOH BIL TOKYOでは、お客様の課題や目指す方向性に合わせたシナリオと体験を提供しているので、体感として新しいはたらき方を伝えられる場所です。

特にDXを推進していく上で大切なのは、現場のヒトのモチベーションを引き出していくことだと考えています。経営層だけがAIと叫んでいても意味がなく、また現場の方々は「経営層は現場の不満を理解していない」と思っていたりもします。

実際にDX推進プロジェクトが頓挫してしまう要因のひとつは、そうした経営層と現場の目線のズレによって、うまく運用が進まないということ。そこでぜひ、経営層の方と現場の方の目線合わせを行っていただく場所としても、RICOH BIL TOKYOを使っていただきたいと思っています。

──  最後に岩附さん自身の今後の展望や抱負があればお聞かせください。

過去に、共創プロジェクトを通じてお客様の担当者の方が昇格されたことがあったり、「案件を通じて、良い人材を発掘できた」とお客様から言っていただいたことがあり、共創プロジェクトは人材育成、人材発掘といった側面もあると思っています。

直接的な事業成長はもちろん、そうした人材育成など、様々な角度からお客様企業の成長に繋がることに関わっていきたいと思いますし、お客様の期待値を上回って還元するということを、私たちチームとして取り組んでいきたいと考えています。
そしてお客様に寄り添い、お客様の成長を通じて、私たちリコーの事業成長にも繋げていくことで、リコーにも還元できればとても嬉しく思います。

お客様との共創事例/ コラム