エントリークラスFDM機に適した形状設計〜その2〜
本記事の内容が当てはまる造形方式
- FDM
- iPhoneスタンドを設計する。
エントリークラスFDM機に適した形状設計〜その1〜ではサポートを付けなくても綺麗に造形できる形状的特長に関して述べた。ここではそのケーススタディーを行う。
iPhoneスタンドを例にして考えてみる。
図1は設計したiPhoneスタンドである。画面が見えるように斜めに支えるため長めの支えを背面部に設け、さらに底部スピーカーの音が正面から出るように①から②に向け徐々に大きくなるような音の通り道を設けた。また、③は充電ケーブルを通すための穴で、スタンドに立てた状態で充電が可能な構造となっている。この充電ケーブルをセットするため、背面の支え④はアーチ状の形状になっている。
図1
図2
- 実際に造形すると不具合多発!
図2が実際にLeapfrog社のCreatr HSで造形した結果である。
①②の部分で樹脂が垂れ下がってきており、造形不良が発生している。
これは、材料がブリッジできる距離の限界を超えているための、本来であればサポートを設けて垂れを防止する必要がある。
- 設計を工夫して不具合を解消。
上記のような不具合を無くすため設計的な検討を加えてみる。
背面部に関しては充電ケーブルを通す関係でアーチの下部を埋めてしまうことは出来ない。そこでスリット上に左右を分離することした、さらにスピーカの出口部分は格子上の意匠に変更することで、垂れを防止することにした。
図3は実際に同一のプリンターで造形したもので、造形上の不具合のない出力結果を得ることが出来た。
図3
(山口 清)