技術者が語る 3Dプリンターのいろは

3Dプリンターの造形品をクリア塗装なしで高透明にするには?

本記事の内容が当てはまる造形方式

  • SLA

光造形方式(VPP/SLA)の高透明材を用いて内部可視化する

3Dプリンターの光造形方式(VPP/SLA)では高透明材(クリア素材)の需要が増えてきており、設計・開発時の筐体やパイプ形状などの内部可視化用途や透明容器・ボトルの試作用途等に多く適用されています。また、3Dプリンターの透明素材は造形時間も射出成型と比較するとかからないため、試作・開発段階においてあらゆる場面で活用されています。

モデル形状によっては高透明化処理が難しい場合有り

他の3Dプリンターのいろはの記事(『透明性向上のための表面研磨』) でもご紹介していますが、3Dプリンターの場合、高透明材も造形後の"クリア塗装無し"の場合、十分に透明度を上げることができません。
これは造形時における積層の凹凸が蛍光灯の光などで乱反射を起こしてしまうためで、3Dプリンター造形品では表面全体にクリア塗装を施すことで光の乱反射を抑えることが出来ます。しかしながら、パイプやボトル・容器などの形状の場合は内側に塗料を吹き付けられないため、全面を均一にクリア塗装を施すことが出来ません。

024Figure1.jpg

クリア塗装が無くても、"水"を使うだけでより透明に見えるように

今回は塗装が難しい場合に透明に見せる手段として、『造形品を水に浸す』方法を紹介します。ご家庭にあるガラス製のコップなどは水を入れるとより透き通って映るようになりますが、これは中に入った水が光の乱反射を抑えるためで、3Dプリンターの透明材でも同様にこの現象を利用できます。

024Figure2.jpg

上の画像の通り光の乱反射を防ぐだけで、表面を研磨処理していないものでも透明に見せることが可能です。パイプやボトル・容器など形状的に研磨や塗装が難しい場合は、用途次第でクリア塗装そのものを省いてしまうというのも1つの手段かもしれません。


最新技術情報をメールで取得