後悔しない午(うま)年に

 2026年の年頭。今年も干支(えと)をさかのぼりたい。

 2014年、ソチ冬季五輪での羽生結弦選手の金メダル獲得に日本中が歓喜し、映画アナと雪の女王が大ヒット。小学生だった娘と映画館に3回通ったことを思い出す。

 この年の最大・最悪の出来事は、ロシアによるクリミア侵攻・併合だったと思う。親ロシア派大統領の失脚を受け、ロシアは「ロシア系住民保護」を名目に、クリミア半島を掌握。住民投票における「ロシア編入賛成90%以上」との結果を受け、クリミアを併合した。

 西側諸国はこれに反発し、経済制裁を発動したほか、それまでロシアも参加していた主要8カ国(G8)から同国を外した。しかし、私の不明を恥じるばかりだが、その時の緊迫感が余り記憶に残っていない。ロシアが国際法違反の行為を行っていると思いつつも、虚偽だったかもしれない住民投票結果をうのみにしてしまった。こうした生ぬるさは私だけかもしれない。ただ、2022年のロシアのウクライナ侵攻時に比べ、ロシアに対する世界の対応が緩かったのは間違いないと思う。このことが、2022年の悲劇を生んでしまったのだろうか。

 2002年、日本は国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ日韓大会で沸き立ち、初のベスト16進出を祝福した。個人的には家族が1名増えた年にもなった。

 この年、日朝首脳会談が開かれ、拉致被害者5人の帰国が実現した。会談を決断した小泉純一郎総理や外務省など関係者の努力には敬意を表したい。ただ、その他の拉致被害者の帰国はいまだに実現せず、被害者のご家族の高齢化は皆が知るところだ。このうち、横田めぐみさんのご尊父の滋さんは、私にとって日本銀行の大先輩でもある。このため、日本銀行関係者からも、横田家の苦しみを何度も聞いた。一刻も早い解決を心から祈りたい。

 1990年、東西ドイツの統一やイラクによるクウェート侵攻など、世界で大きな出来事があった年だ。

 私は2年間の英国留学を終え、日本に戻った。留学前は大阪で勤めていたが、1988年の大阪と90年の東京は、異次元と思うほど違っていた。当時、日本はバブル経済の真っ盛りだった。仕事面では、8月の公定歩合引き上げを体験し、期間5年利率8%の金融債に人々がむらがった。

 上司の指示で、都市銀行等の系列ノンバンクの主要貸出先リストを集計した。その後に破綻した、あるいは事件を引き起こした企業や個人向けに、数千億円単位の融資が行われている実態を目の当たりにし、がくぜんとした。そして、バブル経済は崩壊していった。2002年には、日本銀行で金融システムの安定確保のための金融機関保有株式買い入れに関与した。バブル経済崩壊の後遺症は、1990年から干支(えと)がひと回りしても色濃く残っていたわけだ。

 振り返ると、過去3回の午(うま)年は、後年に禍根を残してしまった。トランプ政権や高市政権が2年目に入る今年、後悔を残すことのない1年になってほしい。

(出所)adobe stock=AIによる生成

《おさらい》

Q 午年はどんな年?
A 過去3回は、後年に禍根を残してしまった。
Q 具体的には?
A 2014年はクリミア併合、2002年は日朝首脳会談、1990年はバブル経済崩壊。
Q 2026年はどうなる?
A 後悔を残すことのない1年になってほしい。

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早﨑 保浩