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急増する外国人留学生、卒業後も企業の戦力に

=求められる行政・企業の生活サポート=

2018年03月01日

内外政治経済

研究員
倉浪 弘樹

 先日の夕方、牛丼チェーン店を利用した際、店内にいる3人の店員が全員外国人で驚いた。アジア系だと思われるが、オーダー取りから配膳まで皆テキパキと動き、見ていて気持ちがいい。以前はリーダー役が日本人だった気がするが、今では他の店員に指図するのも、受けるのも外国人。実はこういった風景は珍しくない。コンビニエンスストアに入っても、最近は外国人を目にしない日はない。この間などは、外国人の店員が、新人らしい日本人の店員に「もう仕事は慣れた?」と気遣っているのを目撃したほどだ。

 このように、「日常生活で外国人に接する機会が急に増えた」と感じる人も多いのではないだろうか。実際、外国人労働者は近年急激に増加しているのだ。2012年以降その数は右肩上がりであり、2017年には約128万人と過去最高になっている。(図表1)

図表1:外国人労働者数

20180301_01a.jpg

(出所)厚生労働省
(注)2006年以前は「外国人雇用状況報告」、2008年以降は「外国人雇用状況」、2007年は欠損値

 この外国人労働者を在留資格で分類すると、永住者などを除けば、その多くは「資格外活動」や「技能実習」であることが分かる。「資格外活動」とは、週28時間以内に限って「例外的」に就労が認められる資格で、主に「留学ビザ」で入国する外国人が利用している。「技能実習」とは、日本で取得した技術や技能を本国に持ち帰って産業発展に役立てることを目的に就労を許可されている資格だ。したがって彼らの意図は別として、「就労目的」で入国が認められているわけではない。純粋に就労のみを目的に「専門的・技術的分野の在留資格」で入国し、「就労ビザ」を取得している外国人は全体の2割にとどまっているのだ。(図表2)

図表2:外国人労働者の在留資格別の比率

20180301_02a.jpg(出所)厚生労働省

 その中で近年、増加が著しいのが「留学ビザ」で入国する外国人。とりわけベトナムやネパールなどからの留学生が急増している。国内の専修学校や日本語学校が、非漢字圏の学生の募集活動を活発化したためだ。この背景には、2011年の東日本大震災や2012年以降の「尖閣諸島」問題による日中関係の悪化を背景に、中国人の留学生数が減少したことがある。もともと親日国でもあるベトナムやネパールでは、学校側の努力もあって、現地で「日本語ブーム」が巻き起こっている。実際、国別の外国人留学生数の推移をみると、依然として中国の比率が大きいものの、2012年以降はベトナムやネパールの人数が急拡大している。(図表3)

図表3:外国人留学生数

20180301_03.jpg(出所)厚生労働省
(注)外国人留学生数は「高等教育機関」と「日本語教育機関」の学生の合計

 こうして増えた外国人留学生が、週28時間という上限内で就労する先が、飲食店やコンビニに偏っているのだ。「留学ビザ」の外国人労働者の就労先を産業別にみると、「宿泊業・飲食サービス業」や「卸売・小売業」で過半を占めていることがわかる。これらの産業は、最近特に日本人の働き手を確保することが難しくなっており、事実上、外国人留学生アルバイトなしには事業継続ができない状態になっていると思われる。(図表4)

図表4:「留学ビザ」の外国人労働者数の業種別比率

20180301_04a.jpg(出所)厚生労働省

 今や日本の一部の産業に必要不可欠な人材となっている外国人留学生。しかし、卒業後に引き続き日本で「活躍」するためのハードルは高い。日本で企業に就職するために必要な「就労ビザ」の取得要件が厳しいためだ。例えば、翻訳や通訳などの「就労ビザ」を取得するためには、「大学を卒業している」か、関連する業務について「3年以上の実務経験がある」ことなどが求められる。

 このため、本国で大学を卒業せずに日本に留学し、日本の専修学校を卒業した外国人は、実務経験がないと事実上就労ビザを取得できない。また実務経験がある場合でも、専修学校の専攻内容と業務内容との間に強い関連性が求められる。例えば、専修学校で「日本語」を専攻した外国人が、物流拠点で留学生アルバイトを管理するような仕事に就こうとしても、業務の中心が通訳ではない場合は、就労ビザが認められる可能性は低い。

 このような背景もあり、国内で就職した外国人留学生数が過去最高となった2015年であっても、留学生全体の30.1%にとどまっている。しかもこの数字は、リーマン・ショック前のピークである2007年の30.6%を下回っているのだ。換言すれば、外国人留学生の就労支援の余地は大きく残されているとも言える。少子高齢化が今後ますます進む中で、日本経済の活性化のためには、就労ビザの要件である「実務経験」を緩和することも検討に値するのではないだろうか。(図表5)

図表5:卒業した外国人留学生のうち、日本で就職した人数とその比率

20180301_05a.jpg(出所)    独立行政法人日本学生支援機構
(注)    日本語教育機関は含まず、高等教育機関のみの値。就職率は卒業した学生のうち、「日本国内に就職」した人の割合。

 実際、政府も東京都や大阪府などの「国家戦略特区」に限り、就労ビザの規制緩和を進めている。2017年9月に施行された「改正国家戦略特区法」では、「訪日客の対応で人で不足が懸念されるサービス業について」特区の自治体が受け入れたい職種を国に提案すれば、学歴や実務経験に代わる専門的な資格で就労ビザを取得できるようになった。

 また、就労ビザが認められる業務も拡大し、2017年11月から「介護」分野が追加された。これにより、外国人留学生は国内の介護福祉士養成施設で2年以上の課程を修了するか、福祉系大学などで学習した後に介護福祉士養成施設で1年以上の課程を修了した後、国家資格を取得すれば、「就労ビザ」を取得できるようになった。

 外国人労働者受け入れの議論では、必ず治安や地域との摩擦を懸念する声がある。しかし、もはや日本経済に欠かせない「貴重な労働力」となっている以上、行政や企業が彼らの生活を積極的にサポートすべき段階にきているはずだ。

 具体的なサポートとしては、多言語対応した行政・企業サービスの充実が挙げられる。現在では、電車内で英語や中国語、韓国語の案内が表示されるのも当たり前になりつつあるが、まだ外国人観光客に向けた対応が中心のようにみえる。これを生活面の支援にもっと広げてみてはどうか。

 例えば、福岡県はベトナム人やネパール人の居住が多いことから、2017年に県が発行する「外国人のための防災ガイドブック」にベトナム語とネパール語による表記を追加したという。こうした動きが全国の自治体や企業に広がっていけば、日本で暮らす外国人労働者のストレスを減らすことができ、就労先でも十分な戦力となるのではないだろうか。

倉浪 弘樹

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