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時代は「モノ」から「コト」へ

=プロバスケット観戦で感じた消費の主役交代=

2018年03月06日

内外政治経済

研究員
木下 紗江

 寒気が肌を刺す2月の夕暮れ時―。広大な緑地公園の一角に、真夏のような熱気に包まれた場所が存在した。そこでは、澄んだ冬空に染まる茜色の夕焼けに似た色のボールが踊っている。プロバスケットボール(Bリーグ)の試合が開催されていたのだ。

 この日、筆者は初めてBリーグを観戦した。会場に足を踏み入れた時は、試合前に行われるオープニングアクトの真っ最中。暗闇の中、コートがカラフルな色でライトアップされると、一輪車やチアリーディングのショーが次々に繰り広げられていった。さながらサーカスやクラブイベントのようであり、今まで私が見てきたプロ野球や大相撲、サッカーJリーグといったプロスポーツとは雰囲気が全く違っていた。

 Bリーグの試合は、1クォーター10分の4クォーター制。いざ試合が始まると展開がコロコロ変わるので、一瞬たりとも目が離せない。というよりも、初心者の私はあまりの速さに何が起こったのか付いていけない。それでもBリーグは、他のプロスポーツよりも観客席とコートの距離がとにかく近く、その上、選手の背が高いので迫力が増す。あっという間に魅了され、「また見に来たい」―。

 Bリーグが発足したのは2年前で、2017年に初代チャンピオンが誕生したばかり。まだ歴史は浅いが、9月から翌年1月までの月間平均入場者数(一試合当たり)を比較すると、2016-2017シーズンが1937人だったのに対し、2017-2018シーズンは2126人に上り、着実に入場者数を増やしている(図表1)。最近では「コト消費」が人気を集めているといわれるが、分かる気がする。

図表1:Bリーグ月間平均入場者数(一試合当たり)

20180306_01a.jpg(出所)公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ「B.LEAGUE Monthly Marketing report 2018年2月」
(注)9~1月のBリーグ(B1、B2)月間平均入場者数(一試合当たり)の比較

 内閣府の調査では、自動車や電気製品、家具などの耐久消費財といった「モノ消費」に比べると、レジャー・余暇生活に象徴される「コト消費」への満足度は低めだ(図表2)。しかし、今後の生活の力点をどこに置くか尋ねると、「レジャー・余暇生活」と回答する人が多くなっている(図表3)。これから消費者が財布のひもを緩めるのは「モノ」ではなく、「コト」であると言ってもよいだろう。

図表2:現在の生活の各面での満足度

20180306_02b.jpg(出所)内閣府「国民生活に関する世論調査(平成29年6月)」


図表3:今後の生活の力点

20180306_03.jpg(出所)内閣府「国民生活に関する世論調査(平成29年6月)」

 それを裏付けるかのように、サービス消費は勢いを増している。個人消費の動きをとらえる消費活動指数を見ても、2010年以降、消費増税でも落ち込まず、一貫して増加し続けている(図表4)。数字を見るまでもなく、都内のショッピングセンターなどでは、週末になると子供向けの職業・社会体験施設に長蛇の列ができているのを見かける。物販施設が苦戦しているのとは対象的だ。

図表4:消費活動指数

20180306_04.jpg(出所)日本銀行「消費活動指数」

 加えて、「コト消費」では「多様化」や「深化」がうかがえるのも興味深い。例えば、「モノ消費」低迷の元凶と指摘されてきた携帯電話。通信料は上がり続けているが(図表5)、スマートフォンの浸透で本来の通信やメールといった使い方から、SNSや動画投稿・共有サイトの閲覧、オンラインゲームといった娯楽目的での利用が増えているという(図表6)。電車の中でも新聞や雑誌、書籍などを読む人はまれ。とりわけ若い世代は一様に携帯電話とにらめっこが当たり前になっている。

図表5:通信の消費額

20180306_05.jpg(出所)総務省「家計調査」

図表6:スマートフォンの項目別利用時間

(出所)総務省「情報通信白書(平成29年版)」

 このような「コト消費」へのニーズは、日本人だけにとどまらない。訪日外国人客(インバウンド)の多くはショッピングから、日本での「自然・景勝地観光」や「歴史・伝統文化体験」といった「体験」型の観光にシフトしつつある(図表7)。2016年10月に公表した日銀の地域経済報告(さくらレポート)でも、「リピーターの増加等を背景に、各地の自然や伝統文化等の体験、サイクリング等のアクティビティ、アニメの聖地巡り等を志向する外国人旅行者が増加しつつある」と分析している。

図表7:訪日外国人旅行者の目的

(出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査(2017年10-12月期)」

 各地域が誘客に力を入れ始めていることも、その動きを後押しする。このさくらレポートの中でも兵庫県の城崎温泉では、「浴衣で温泉街を巡って外湯につかる」という過ごし方を海外でPRした結果、インバウンドが増加したり、大分県や秋田県などは、農村に長期間滞在して地域の自然や文化に触れ、農林漁業体験や地元の人々との交流を楽しむ「グリーンツーリズム」を提案し、近年人気が高まっていることが報告されている。

 いずれも得られるのは「オンリーワン」の体験。新しい世界に足を踏み入れてみると、思いがけないワクワクと出逢えるし、人生が楽しくなる。もうすぐ春も訪れることだ。何か新しい「コト」を体験してみませんか。

木下 紗江

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