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「印刷の3原色」でフルカラーを実現

=知られざるインクジェットプリンターの世界(上)=

2021年11月01日

最先端技術

企画室
帯川 崇

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、深刻な影響が続く日本経済。こうした状況下でも、「巣ごもり需要」が一部の商品の需要を拡大している。地味な「製品」の中でも売り上げを伸ばしているものもあり、その1つがかつて年賀状やCD-Rラベルの印刷で家庭に普及したインクジェットプリンターである。

 「2021年版電子機器年鑑」(中日社)によると、世界の民生用インクジェットプリンターの生産台数は、2019年の5967万台から2020年(見込み)には5280万台へと減少。ただし、2021年5520万台、2022年5760万台とそれぞれ回復が見込まれるという。

 今回、(上)(下)に分けて一般にはあまり知られていないインクジェットプリンターの世界を紹介する。(上)ではまず、インクジェットプリンターの原理や仕組みを解説したい。

微細なドットの集合で文字・図形・色を表現

 インクジェット印刷の仕組みは非常にシンプルだ。わずか数ピコリットル(1ピコリットル=1兆分の1リットル)という超微量のインクの液滴がプリンターのヘッドから吐出(=ジェット)され、紙の上に直径約数十マイクロメートル(1マイクロメートル=1000分の1ミリ)の円状ドットを形成。この微細なドットの集合により、文字や図形、写真などを表現するのだ。

 ヘッドの表面には千個単位のノズルが規則正しく並んでおり、電気信号のON/OFFによって、色ごとに必要なノズルから液滴が吐出される。その数は、1つのノズルから最大で1秒間に数万個という膨大なものになる。

 なぜ多彩な色を表現できるのか。「印刷の3原色」すなわち青に似たシアン(C)、赤に近いマゼンタ(M)、イエロー(Y)の吐出ドット数の比率を変えることにより、フルカラーで表現可能になるのだ。「光の3原色」であるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)でフルカラーを表現するディスプレイと同じ原理である。ただしインクジェット印刷の場合には通常、上記の印刷3原色のほかに使用量の多いブラック(K)を加え、CMYKの4色を基本とするプリンターが多い。

写真CMYKのドットで表現されるインクジェット印刷物(250倍に拡大)
(写真)筆者

19世紀半ばにまで遡る基礎実験の源流

 インクジェットの歴史は、19世紀半ばの有名な基礎実験が起点となる。1867年、絶対温度(K)の単位として知られる英国の物理学者ケルビンが、液滴に電荷を与える「帯電実験」を行う。それが源流となり、今日に至る。

 これを応用したのが、1960年代に実用化された「連続噴射型」のインクジェットである。電荷を帯びた液滴をプリンターのヘッドから常時吐出する仕組みだ。電気のON/OFFによって液滴を直進させると、紙の上に到達し印刷に使われる。逆に曲げられた液滴は回収され、プリンターのインクタンクに戻る。プリンターの小型化やドットの高精細化は難しいものの、高速印刷に向いており産業用途を中心に現在も活用されている。

 液滴を常時吐出する連続噴射型に対して、必要な時にだけ液滴を吐出する「オンデマンド型」が登場したのが1970年代。これには加熱によって液滴を押し出す「サーマルタイプ」と、電圧によって液滴を押し出す「ピエゾタイプ」があり、どちらもプリンターの小型化が容易なため、家庭用の主流として使われている。

 オンデマンド型で使われるインクは、色褪せするものの発色が鮮やかな「染料インク」と、発色では劣るものの色が長持ちする「顔料インク」の2種類に大別される。このため、写真用には色表現に優れる染料インクを、文書用には文字をくっきり表現できて印刷後に上から蛍光マーカーを引いてもにじみにくい顔料インクを使い分けるのが一般的だ。

主なインクジェットの方式とその特徴
図表(出所)筆者

デジタル、非接触、省電力の3大特徴

 インクジェット印刷の3大特徴として、「デジタル」「非接触」「省電力」が挙げられる。だからこそ、パソコンとつなげて使う小型の家庭用プリンターとして広く普及したわけだ。

 オフセットや電子写真といった他の印刷方式と比べると、インクジェットが圧倒的にユニークな特徴は非接触である。つまり、プリンターのヘッドと印刷したい紙などの対象が触れていない。このため、金属板のような硬いモノや、逆にケーキのように柔らかいモノでも、非接触のヘッドから液滴を吐出すれば印刷できる。この特徴によって、インクジェットの用途は家庭用プリンターの垣根を越え、今や産業分野へも広がり始めている。(下)では、紙以外へのインクジェットの応用についてその現状と未来を論じてみたい。

帯川 崇

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