2018年04月05日
地球環境
研究員
間藤 直哉
街はエコカーだらけ。遅ればせながらわが家も、1年前にハイブリッド車(HV)に買い換えた。この車は燃費効率よく運転すると、エンジンを止めた時に「最高燃費」が表示される。これがゲーム感覚をもたらし、もっとエコな運転をしようという気持ちが湧くようにできている。エコカーに乗り換えてから運転の仕方が変わったという話を多くの方から聞くように、それも一因だろうと思う。筆者もドライブで遠出をするときには、早く到着することよりも、どうやって燃費よく走れるかと考えながら運転するようになった。環境意識が自然に高まっているのだ。
そんなエコドライブをした先で、よく見かけるのが「道の駅」だ。実際、1993年に全国で103カ所だったのが、2017年11月17日時点で1134カ所にまで増えているそうだ。
道の駅には大きく分けて3つの機能があるという。休息機能(Refresh)、地域の連携機能(Community)、情報発信機能(Information)の3つだ。特に当初は休息のために立ち寄るというイメージが強かったが、最近では地域の特産品や収穫したての野菜やフルーツなどの販売が行われ、多くの人が買い物を楽しんでいる。その土地の食材を使ったレストランでの食事も堪能できる。名水や湧き水を汲んで帰れるサービスを提供しているところもある。
大きく様変わりしている道の駅。わが家ではたまたまドライブの最中に見かけたから入るのではなく、初めから立ち寄る道の駅を見定め、何を買って、何を食べるかをある程度決めている。単なる経由地ではなく、買い物やそこでしか出来ない体験をする場所として楽しんでいる。
道の駅もこれだけ増えてくると、前述の3つの機能にとどまらず、付加価値を付けて差別化を図ろうという動きも出ている。キーワードはエコと防災だ。
例えば、栃木県佐野市にある「どまんなか たぬま」。ここでは駐車場に屋根を設けてそこに太陽光パネルを設置し、発電を行っている。発電した電気は売電しているそうだが、災害時には防災拠点になるという。千葉県木更津市の「うまくたの里」では、建物の屋根に蓄電池付きの太陽光発電システムを設置し、昨年末から稼動している。ここで発電される電気は通常は施設内で自家消費されているが、緊急時には避難所としても利用されるほか、独立電源として重要な施設に電力供給をするという。
太陽光発電だけではない。秋田県北秋田市の「たかのす」では、小型木質バイオマス発電装置で発電する。燃料となる木質チップは、県内の未利用の間伐材を使用している。発電装置といっても大きなプラントではなく、20坪程度の建物の中にすっぽり納まる比較的小さなもの。発電した電気は、装置を設置した会社が売電しているそうだ。
この「たかのす」の施設は、発電時に出る熱も利用するコジェネレーションシステムになっている。熱は足湯として活用され、立ち寄った人々にリフレッシュしてもらう絶好の場所となっている。設置事業者の話によれば、足湯だけでは熱はまだ余っているとのこと。熱をさらに利用できればエネルギー効率が増し、導入への動機付けにもなると期待される。
今後、エコカーへのシフトがますます続けば、中心となるのは電気自動車(EV)であろう。同時に「エコな道の駅」も増えていくだろう。EVでのドライブ中に立ち寄る道の駅で、再生可能エネルギーで発電された電気を使って充電ができるようになると、真のエコドライブが実現する。そんな社会になる日も遠からずやって来るかもしれない。
間藤 直哉