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「新しい資本主義」を探る

第23回 冬夏青々

2022年01月07日

内外政治経済

常任参与
稲葉 延雄

 岸田新政権が唱える「新しい資本主義」が議論を呼んでいる。中身が全く分からないというのが大方の批判であるが、無理もない。実は、「新しい資本主義」は世界中で探索が始まったばかりで、経済学者や政治学者などの専門家に聴いても答えは返ってこないからだ。

 こうした動きの背景には、多くの国で経済が発展したのに貧富の格差が拡大するとともに、社会の分断化が進んで経済社会が著しく不安定化していることが挙げられる。政治の側では人々の要求に応えるべく目先の対応に追われ、地球温暖化への取り組みなど、長い目で見て重要な世界的課題に対して腰を据えた対応ができないでいる。

 米国では、バイデン政権がコロナ禍からの経済回復を確かにしつつ、巨額のインフラ投資で穏健な中間層を復活させようと目論んでいる。しかし、左派・右派の両サイドから強い反論に遭遇し、当初2兆ドル規模を目指したインフラ投資法案は1兆ドル規模まで縮小した上でようやく成立した。社会主義市場経済を標榜する中国でも格差拡大は顕著であり、指導部は建国直後に使われた「共同富裕」なる造語を持ち出して国民の不満鎮静化に躍起になっている。

 このように各国は「新しい資本主義」への移行が必須なのに、お手本となるような国はどこにもない。結局、「新しい資本主義」はだれかに与えられるものではなく、政府・企業・家計が一体となって問題点を一つずつ片付け、全く新しい体制を創り上げていくほかない。生産性の向上とその賃金への反映を基本とする資本と労働の配分適正化、格差拡大を抑制するような諸税制の在り方、財政の所得分配の機能強化に向けた財政再建の道筋など課題が山積している。

 この関連で、成長と分配のどちらが先かも議論されている。格差拡大に直面している中では、適正な分配を確保してこそ次の成長がある、というのが最近の考えである。一方、成長の果実がなくては分配もできないのではないか、との考えもある。だが、成長しなくてもうまく分配し直せば格差は是正できるし、むしろ分配を是正するためには関係者を巻き込んだ改革こそが必要である。つまり分配の適正化に必要なのは成長ではなく改革である。

 改革によって分配を是正し、将来の成長につなげていくという「新しい資本主義」の実現に向けた取り組みは一体、どの国の戦略が正しいのか。各国間競争は熾烈である。

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稲葉 延雄

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※この記事は、2022年1月5日発行のHeadLineに掲載されました。

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