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丸の内流「おもてなし」と踏み出す勇気

【企画室】 Vol.4

2016年11月24日

社会・生活

企画室
新井 大輔

 筆者の勤務する東京・丸の内の界隈で最近、「Marunouchi AMBASSADOR」(マルノウチ・アンバサダー)と書かれたバッジを見かける。直訳すると、「丸の内大使」。三菱地所とそのグループ会社である三菱地所プロパティマネジメント等のグループ社員や、ビル運営管理を担うパートナー会社の社員らが着用しているという。内外からの来訪者に対して、道案内や写真撮影の手伝いといった「おもてなし」を実践しているそうだ。

image_600.jpg「丸の内アンバサダー」のバッジとストラップ (提供)三菱地所プロパティ マネジメント

 日本政府観光局によると、今年の訪日外国人数は先月末までに初めて年間2000万人を突破した。実際、都内のスポットでは外国人の姿が今や当たり前になった。丸の内も然り。だが、外国人が地図やスマホを片手に困っていても、英語に苦手意識の強い自分はどうしても...。次の瞬間、通り過ぎている。

 そんな外国人恐怖症の筆者だが、友人から誘われて国際交流パーティーに参加してみた。6~7割が外国人だから、当然、「公用語」は英語である。友人は留学経験もあり、会話が楽しそうに弾んでいる。私も輪に加わろうと、頭の中で「英作文」を始める。文法を間違うと恥ずかしいから、「複数形だからsが付くんだよな...」と確認した上で、いよいよ思い切って...。だが、輪の中の話題は次に移っていた。

 この繰り返しで、会話の波に乗り切れない。そんな中、元気の良い英語が聞こえてきた。話しているのはアジア系の男性。彼の英語は文法上の間違いが多い上に、時折、母国語と思われる言葉も交じっていた。しかし一切臆することなく、実に堂々と話しており、その目はキラキラと輝いている。一番大切なのは決して文法ではなく、一歩踏み出す勇気なのだと気づいた。

 これから困っている外国人を見かけたら、今度こそ一歩踏み出して声を掛けてみよう。その積み重ねこそが、訪日客の胸に刻まれる「おもてなし」になるのではないか。東京五輪まで4年足らず。心の中で小さな準備を始め、丸の内で年の瀬を迎える。 

IMGP6689_600.jpg地図を持ち歩く訪日外客

(写真)筆者

新井 大輔

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