創造性探求の旅は4年目に

 リコーが事務局を務める「はたらく人の創造性コンソーシアム」が先月、3歳の誕生日を迎えた。参加企業10社が集い、働く人と創造性の関係を探求した会合の回数は34に上る。

 「働く」と結びつきやすい言葉は、「生産性」や「エンゲージメント」と思う。実際、この二つをテーマとする企業の集まりも少なくない。働く人のパフォーマンスを表す生産性も、働く人の職場や仕事に対する熱意を表すエンゲージメントも、いずれも大事なことは言うまでもない。また、企業のレベルでは「イノベーション」を生む力が期待される。

 創造性はこうした項目と密接に関連する。創造性は一部の天才の独占物ではない。日常の活動における「その手があったか」と思わせる改善も創造性だ。改善は生産性向上に結び付く。当研究所の分析では、創造性を高める要因と、エンゲージメントを高める要因の間には共通のものが数多くあり、この二つは密接に関係する。そして、創造性は学術的に「ある領域において新規かつ有用なアイデアを創出する力」と定義される。まさに、創造性がイノベーションの原動力となる。

創造性を高める実践活動

 さらに、働く人が淡々と、時に機械的に日常業務を進めるにとどまらず、働くことに歓びを感じられることが望ましいのではないか。この点でも、創造性を発揮できる環境づくりが欠かせない。

 コンソーシアム活動3年目は、それまでにまとめた2本のプログレスレポートを土台に、創造性を今まで以上に身近に感じ、創造性を高める実践活動につなげることを目指した。具体的には、A3表裏見開き(A4で4頁)の「はたらく人の創造性リーフレット」を作成した。その中で、「創造性は身近にあること」「個人とチームの双方が創造性発揮に重要な役割を果たすこと」を簡潔に説明した上で二つの工夫を行った。

 まず、学術的な知見も踏まえ、個人とチームが創造性を発揮できる状況にあるかチェックできる18項目のリストを作った。創造性に関係する要素は、個人に関する「能力・スキル」「思考・行動特性」「仕事・キャリア特性」と、チームに関する「リソース」「チーム環境・支援」「組織文化・風土」の計6ジャンルで構成される。各ジャンルに三つ、合計18の質問を投げかけることで状況を把握できる仕組みだ。

 また、この18の質問項目のうち7項目について、インタビュー形式でさまざまな企業の実践事例を紹介している。インタビュー記事を通じて 「手触り感」が一段と増すことを期待している。

 幸い、このリーフレットを手にした人たちの評判は上々だ。ただ、コンソーシアム活動が4年目に入る中で、ここで止まってはいられない。例えば、人工知能(AI)の活用が進み、AIが人の仕事を奪うことが心配される一方、「人間の創造性が一段と試されていく」との意見も少なくない。このように、働く人の創造性を巡る検討課題は尽きない。4年目の今、コンソーシアムにおける探求を続け、創造性に関する理解を広げる活動を強化していきたい。

リーフレット画像.jpg「はたらく人の創造性リーフレット」

《おさらい》

Q はたらく人の創造性コンソーシアムは、どのような団体なのか。
A 働く人と創造性の関係を探求する企業連携組織。参加企業10社でリコーが事務局を務める。設立3周年を迎えた。
Q 創造性の重要性が高まっている。理由は?
A 生産性やエンゲージメントとも深く関係している創造性は、日常の業務改善からイノベーション創出までを支える原動力となる。
Q これまでの成果、今後の取り組みは?
A 「はたらく人の創造性リーフレット」を作成した。創造性を確認できる18項目のチェックリストと企業事例をまとめている。今後AI活用が進み、人間の創造性の重要性が高まる。理解と実践を広げる活動を強化する。

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早﨑 保浩