2016年11月15日
働き方改革
研究員
可児 竜太
10月初め、アジア最大級の家電・IT見本市である「CEATEC JAPAN 2016」が千葉市・幕張メッセで開催された。会場に向かう途中の乗換駅で、外国人の一家からどの電車に乗るべきか尋ねられた。偶然にも「CEATECに行きたい」というから、会場まで案内することにした。
一家の会話が聞き慣れない言語だったので尋ねると、「イスラエルから来た」という。東京で観光中にテクノロジーの展示会があると知り、やって来たのだそうだ。観光客にとって面白いイベントなのかと聞くと、「イスラエルはテクノロジーで発展している国だから、とても興味がある」と答えが返ってきた。さすが技術大国イスラエルである。
イスラエルの輸出額、50%が最先端製品
(総計450億米ドル、2015年)
(出所)イスラエル中央統計局を基に筆者作成
(注)輸出額はダイアモンドを除外
20歳前後と思しき一家の息子と娘は、日本社会について興味を持ってよく勉強している様子だった。海浜幕張駅から会場へ向かう人波を見た息子からは、「男性ばかりだね」と意外な一言。我々にとって見慣れた光景も、訪日客の目からすると相当な違和感があるようだ。
筆者が「日本の企業は男性が多いからね」と応じると、今度は娘が「日本の女性は出産をするとキャリアを諦めなければならないと聞いたけど、それは本当?」と尋ねてくる。「場合によってはその通りだけど、今まさにそれを変えなければと頑張っているところだよ」と答えるのが精一杯。さらに息子からは、「日本は人口減少社会と聞いていたが、働く女性が『出産かキャリアか』を選ばなければならないのであれば回復は難しいね」と止めを刺された。
(左図)男女の平等指数(順位は144カ国中) (右図)経済活動に関連する男女格差(男性1に対する女性の比率)
(出所)WORLD ECONOMIC FORUM, "The Global Gender Gap Report 2016".
程なく幕張メッセに到着したが、受付には英語で対応できるスタッフが限られているようだった。一家も戸惑いを見せていたため、彼らが受付を済ませるまで手伝うことにした。国際展示会なのに、外国人の来場をそれほど想定していなかったということか。ここでも日本の抱える問題点を感じつつ、一家に別れを告げた。
会場を歩き始めると、大手電機メーカーのブースに人だかりができていた。そこでは多言語翻訳機能を持つタブレット用アプリが紹介されており、試してみると非常に優秀。早口の英語でも、正確に聴き取って即座に翻訳してくれる。これが会場の受付に備えてあれば、あの一家のCEATEC JAPANに対する印象が違っただろう。
今後、東京オリンピックに向けてこうした技術が急速に発展・普及するのは間違いない。しかし、言語は技術で解決できたとしても、女性の社会進出についてはどうだろうか。政府の進める「働き方改革」によって、あの青年の違和感が解消される日が来ることを期待したい。
CEATEC JAPAN 2016の会場風景
(写真)筆者 PENTAX K-S2 使用
可児 竜太